世界樹の迷宮2 諸王の聖杯(DS)

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世界樹の迷宮2、「ウィザードリィ」の系譜継ぐRPG 厳しさの裏側にある「もてなし」の心

 「君はこの原稿を読んでもいいし、そのまま立ち去ってもいい」。ゲームブック(選択肢が分岐して“遊ぶ”小説)のような語り口と、ゲームミュージックの鬼才・古代祐三さんのサウンド。1作目の「世界樹の迷宮」は多くのベテランゲーマーを「クラッ」とさせた。

 80年代に誕生した名作「ウィザードリィ」シリーズを受け継いだ本格的な3DダンジョンがDSで再現された。「ソードマン」(戦士)や「パラディン」(騎士)などで5人のパーティーを編成し、樹海の奥へと足を踏み入れと、まだレベル1の冒険者たちに襲いかかる魔物の群れ。たったの5分で、モグラやチョウチョ相手にパーティー全滅……。手荒な歓迎をガツンと受けて、それから何百時間、ダンジョンの集まりである世界樹の中をさ迷ったものだろうか。

 続編となる本作でも、前作同様タッチペンでマップを丹念に書き込む「手書きマッピング」システムに、シビアな難易度、明確なストーリーもないという相変わらず「不親切」なゲームのように感じられる。だが、最初は遠回りさせられながら森の奥へと進んでいった冒険が、帰りはショートカットできるようになり、さらに2回目からは楽に奥へと進めるようになっていて、さらに一度は撃破した中ボスで簡単に経験値も稼げるなどの気配りが満載。まるで“もてなしの空間”が広がっているように感じてくるのが不思議だ。

 新たに「ドクトルマグス」(巫術使い)と「ガンナー」(銃使い)、「ペット」(動物)の3つの職業が追加され、街に帰らないでもダンジョンの中で「中断セーブ」ができるようになった。マッピングの記号も要望の高かった「矢印」が増え、カニ歩き(水平移動)も可能になるなど細かい新要素はあるものの、ダンジョンを歩き回り、勝ったり負けたりしてマップを塗りつぶしていくというゲームで、基本的には、前作とやってることは同じだ。それでも、どんどんDSの画面に対して前のめりになっていく。劇的なドラマが展開されるわけでもないのに、なぜこんなに入り込んでしまうの?

 マップ上を動き回る強敵「F・O・E」との駆け引きは、より奥深くなった。今のレベルでは勝てない怪物との戦闘をいかに避けるか。じっと観察して行動パターンを見極め、「今だっ!」と飛び出したとき、ザコ敵に足止めされる恐怖……。じっくり遊ぶ1人用RPGの“静”と、現実と同じ時間が流れるオンラインRPGの“動”がうまくミックスされているのだ。

 そうした戦略性だけではなく、冒険の旅に必要な回復アイテムや資金を稼ぐため、「樹海で花を取ってこい」という“お使い”のような「クエスト」をこなさないといけない。ところが、「いつも世話になってる宿屋の娘のため」といった人々との交流が絡んでくる。怪物の襲撃から町を守り、恋人へのプレゼントを頼まれる……とくれば、無味乾燥なダンジョンの一歩一歩にも、義理と人情の花が咲くというものだ。

 細かなエピソードの積み重ねがあるから、終盤のラスボス戦も大いに盛り上がる。思い出の染みついたアイテムや、持てるスキル(技能)を総動員した攻撃をすべて受け止めてしまう持つラスボスの圧倒的な貫禄は、「もう少しで勝てるのに」という絶妙なバランスで、さすが「女神転生」シリーズで培ったアトラスの職人芸、とうならされる。

 このシリーズは、「映画のような大作」から、RPGを我々プレーヤーの目線に取り戻す試みのようだ。お仕着せのストーリーがないのは、一人一人が別々のドラマをつむいでいるからだ。主役はそう、アナタなのだ。

世界樹の迷宮2 諸王の聖杯(DS)1人用 CEROレーティングA(全年齢対象) アトラス 5229円 2月21日発売
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